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コーヒーのお供に過日の思い出はいかが?
『東京珈琲パンデチカ』プレイレポート【Let’s INDIE !】

INDIE Live Expoで紹介したタイトルをピックアップして不定期紹介する【Let’s INDIE !】。
今回は「INDIE Live Expo 2024.5.25」にて紹介した『東京珈琲パンデチカ』のプレイレポートを掲載。

あなたは”喫茶店のマスター”。

舞台は現代、東京のとある喫茶店。
プレイヤーはこの喫茶店のマスターとして、コロナ禍に訪れた個性豊かなお客様たちとのエピソードを思い出していきます。
お客様は全員、一癖ありながらも実際に存在していそうな人物ばかり。
プレイヤーは、そのエピソードを一つ一つ振り返りながら、コロナ禍から現在に至るまでの空白のタイムラインを少しずつ埋めていきます。



オリンピックの開催直前に、マスターは元アルバイトの女の子とともにお客様の記憶を辿っていく。

人それぞれ語られる、閉塞感溢れるエピソード

お客様の語るエピソードは全てコロナ禍のもの。
外出や対面での交流が制限され、先行きの見えない状況が続くことで、社会全体に不安が広がり、圧迫感を感じている……とそんな背景のもとで、お客様は暮らしの変化や愚痴、不満、時には笑い話やトンデモ噂話を語ります。



コロナ禍特有の単語にはTIPS形式で説明が入る。今はまだ記憶に新しい言葉だが、数年後にはもしかしたら懐かしく感じるかも。

何度も来店いただくことで、彼ら・彼女らの環境や考え方に変化が起きていく様が見られることも。
閉塞感に包まれていたコロナ禍の時代においても前向きに、時には楽しみながら日々を過ごすキャラクターたちの姿には、実際にその時代を生きたプレイヤーの皆さんにも共感できる点が多いかもしれません。
現実の時系列とリンクしたエピソード構成を通じて、「あの頃はこうだったな」と過去を振り返るだけでなく、社会の閉塞感に負けない強さを感じ取ることができました。



時には愚痴を聞く必要もあるが、それ以上にエネルギッシュな話題が多い。

誰でもお手軽バリスタ体験

思い出を振り返る最中、マスターであるプレイヤーは、お客様との会話に耳を傾けるだけではなく、コーヒーを淹れなければなりません。
コーヒー豆の選定からミルを回しての豆挽き、そして抽出まで、細やかなステップを経てコーヒーを淹れる過程は、お客様に向けて一杯を準備するバリスタの気分が味わえます。

コーヒーを淹れる作業自体はシンプルなミニゲームとして再現されているため、普段はインスタント派で、コーヒーの淹れ方はあまり良く分からない筆者でも問題なく楽しめました。
未経験でもスムーズに操作が可能で、淹れ方を学ぶ感覚で進めることができます。



難しい操作は必要なく、直感的にコーヒーを淹れることができる。ところで、豆を蒸らすのってどういう意味があるんでしょうか

喫茶店のマスターである以上、コーヒーは質にもこだわらなければいけません。
各手順を雑にこなして美味しくないコーヒーを淹れると、お客様からコーヒーに意見をいただき、会話が途切れてしまうのでご注意。



納得いただけない一杯の場合Failed判定となり、エピソードの最初から思い出し直しとなる。

ゲームが進むにつれてお客様が求めるコーヒーのレベルが上がっていきますが、同時にプレイヤーの“コーヒースキル”も上がる仕組みになっており、徐々に美味しいコーヒーを淹れる腕前が身についていく成長感も楽しめます。


コーヒースキルは一杯入れるたびに一つ覚えることができる。
淹れるのに失敗してもスキルは取得できるので、どんどん淹れていこう。

本作は、コロナ禍の記憶とそこから生まれた多様な視点を後世に残す、日記のような資料的価値を持つ作品です。
世の中が少しずつ落ち着きを取り戻しつつある今、ちょっぴりノスタルジックな気持ちでコーヒーを片手にぜひ一度プレイしてみてはいかがでしょうか。

タイトル:『東京珈琲パンデチカ』
販売:Heaviside Creations (公式サイト / 公式X
Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/2885880/_/
価格:980円