2024年11月3日(日)に秋葉原UDXで開催された「デジゲー博」。
会場には数多くのインディーゲーム開発者たちが、独自のアイデアや工夫を詰め込んだ最新作を出展していました。
本記事では、INDIE Live Expo取材班が会場で実際にプレイした作品の中から、特に印象に残ったものをピックアップしていきます(個人的な嗜好が反映されている点については、どうかお許しください)。
本記事はINDIE Live Expoスタッフの吉原がお送りいたします。
『ノンエターナルズ』:asiram works
皆様は某ファイナルなMMORPGの画面表示が、ガチガチにカスタムされているのを見たことがあるでしょうか。デフォルト表示とは明らかにかけ離れたものになっていたり、そんなところにゲージやアイコンを置いたりするの!? と驚いたり……。
『ノンエターナルズ』はそんな画面表示のカスタムがモノをいうコマンドアクションRPGです。
デフォルメのきいたキャラクターが画面を動き回り、かなりキュートな見た目をしていますが、プレイ内容はしっかりとしたコマンドアクションRPG。
特定のコマンドの後に指定されたコマンドを入力すると威力が上がる「コンボ」のシステムなどもあり、いわゆるスキル回しなどを意識するようなゲームになりそうだな……と製品版への期待が膨らむタイトルでした。
特徴的なシステムとして“隣接効果”というものがあり、こちらは簡単に説明すると、「情報表示ウィンドウの隣に設定されたコマンドにバフがかかる」というもの。
文章だけだとイマイチよく分からない……と思いますが、実際に見てみるのが早いかと思います。
上の画像はSPゲージをコマンドアイコンの上に配置したもの。左から3つ並んでいる魔法は本来それぞれ800SPを消費して使うものですが、左から3番目の「見習いフロスト」だけは770SPの消費となっています。
これは「SPゲージバーの表示」が、隣接したコマンドの消費SPを30軽減する、という効果を持つため。
なぜゲージをコマンドに隣接させるとバフがかかるのかは謎ですが……画面表示のカスタムが実際の数値としてゲームに影響を及ぼすシステムは、なかなか見られないのではないでしょうか?
バフを最大活用するためには、下のような偏執的なUIにカスタムしたり……と、面白い見た目になりそうです。
▲コマンドの周りを味方HPゲージ(隣接コマンドのリキャスト時間を短縮)とSPゲージ(隣接コマンドの消費SPを軽減)で囲ってみました。実用的。
作者:asiram (@asiramasiram)
公式サイト:https://sites.google.com/view/non-eternals
プラットフォーム:PC・iOS・Android
リリース予定:2025年
『BREAK ARTS III』:MERCURY STUDIO
ロボットが大好き。レーシングゲームも大好き。そんな制作者の「自分の遊びたいゲームを作ろう!」という心意気が詰まったロボットバトルレーシングゲームが『BREAK ARTS』シリーズ。
今回出展されていた『BREAK ARTS III』は、2018年にPC向けにリリースされた『BREAK ARTS II』から7年の時を経て送り出されるシリーズ最新作です。
本作のキモはカスタム要素。パーツをカスタムして自分だけの機体を組み上げる体験は『BREAK ARTS III』の最大の魅力です。
前作『II』の時点で既にカスタム要素はかなり洗練されていたのですが、本作ではさらにそれを突き詰めており、ただのパーツ組み換えだけでなく変形(!)も考慮したパーツ構成を考える必要もあるとのこと。
武装についても両腕に何を持つかという単純なものではなく、“体のどこに付けるか”というところからカスタムが可能。全身にブレードを付けて体当たり、豪快にゴールを目指す……という戦法も可能らしいです。
▲試遊版ではプリセットから機体を選ぶ形式。一番左の赤い機体は変形もできるがその分ピーキーなようで、機体に振り回されているプレイヤーが多く見られた。
せっかくカスタムしてもやることはレースだけ? と思っている方もいるかもしれません。
しかし『BREAK ARTS』は“総合競技”でレーシングだけにあらず。
本作ではレースではなくバトルのモードも実装されています。
▲無機質なUIにパーティクルが映えるプレイ画面。グラフィックはリッチな作りとなっていた。
『ARMORED CORE VI』も発売されて、昨今ふたたび盛り上がりを見せているロボットゲーム界隈。
MERCURY STUDIOの方に「プレッシャーはないですか?」と伺ったところ、「特に何も感じてはいません! 私は自分の遊びたい作品を作っているだけなので!」と、思わず「エゴだよ、それは!」と合いの手を入れたくなるような回答も得られました。
BREAK ARTS IIIはSteamで2025年発売予定。現在ウィッシュリスト登録受付中です。
▲発進シーンはかなり力を入れて作っているとのこと。カタパルトの変形まで作り込まれていた。
▲会場ではアーキテクチャ(機体の呼称)たちのグッズも販売。アクスタは早い段階で売り切れていた。
作者:MERCURY STUDIO (@MercurySdo)
公式サイト:https://playism.com/game/break-arts-iii/
プラットフォーム:Steam
リリース予定:2025年
『Wabisabi SushiDerby』:ITAMAE STUDIO
「お寿司は足が速いので……」
本作の試遊時に開発者の方からこの言葉が飛び出てきて、思わずパァンと柏手を打ちました。
寿司育成レースシミュレーションゲーム『Wabisabi SushiDerby』はお寿司を育成し、走らせるゲームです。
▲育成可能なお寿司リストには、握り寿司以外にも軍艦やいなりも入っている
本作は育成パートとレースパートを交互にプレイするゲームとなっており、まず育成パートではお寿司を握り、名付け、鍛えます。
鍛える際には優しくしたり檄を飛ばしたりすることで究極、あるいは至高の一貫を目指しましょう。
そしてレースパートではいよいよお寿司が出走。回転寿司や寿司レストランのカウンターをお寿司が走り回ります。
しかし彼らはお寿司。レースの最中にはお客さんのオーダーが入り、食べられてしまうことも。
▲レース中は箸がお寿司を狙ってくる。気をつけよう。
食べられてしまうことでレースからは脱落してしまいますが、それはそれで“お客さんのお腹を満たす”というお寿司の本来のゴールへと到達できたのかもしれません。
そしてレース後はまた育成し、走らせる……。
獲得した優勝賞金で寿司屋を成功へと導くのがプレイヤーの目標です。
お寿司には名前を付けることができ、あなただけの一貫を作ることができます。手塩にかけて育てたお寿司が食べられていくのは悲しいですが、それはそれで寿司職人冥利に尽きるというもの。
育成とレースのスパンが短いため、育成レースゲームとして手軽に遊べるテンポの良いゲームだと感じました。
『Wabisabi SushiDerby』はSteamで2025年春発売予定。
サヨリが旬を迎える頃まで発売を待ちましょう。
作者:ITAMAE STUDIO
公式サイト:https://lolol.ooo/wabisabi
公式X:https://x.com/wabisabiderby
プラットフォーム:Steam
リリース予定:2025年